2020年12月、ジェイエルネスの組織改革が本格的にスタートした。改革から1年後、過去最高売上を達成。利益に関しても、1300%の成長率を叩き出しました。組織と既存事業を成長させるため、抜本的な改革を進めてきたリーダーが、今回ご紹介するCHROの新見英人。メンバーから全幅の信頼を寄せられ、ジェイエルネスの急成長を陰で支えています。
会社が最大限の価値を発揮するにはメンバーのつながり、各メンバーの成果最大化が求められます。組織崩壊寸前だったジェイエルネスが”掛け算で成果を出すチーム”になるまでは、どのような試行錯誤があったのでしょうか。
さらに、ジェイエルネスのCHROとして活躍する新見英人のキャリアに迫ります。
プロフィール
新見英人 Hideto Niimi
2014年_新卒で株式会社ベネッセホールディングスへ入社
2018年_横浜市の小学校で2年生・3年生の担任の先生
2020年_株式会社ジェイエルネスに入社
2021年_株式会社リクルート×株式会社ジェイエルネスの二足のわらじ
新見:2020年4月に新規事業立ち上げメンバーとして参画。2022年1月に取締役CHROとなりました。主にジェイエルネスの組織づくりと、事業を拡大させるべく事業運営にも携わっています。
まずは改めて、キャリアについてお聞きします。前職を含む6年間のキャリアを教えてください。
新見:「子どもたちの人生に大きな影響を与える教育業に携わり、小学校の先生になりたい」。大学受験のときから決めていたことで、大学在学中のインターン選びの基準も「教育事業」という軸でした。
それはどんな経験から思ったのでしょうか?
新見:実は、小学校の時にある先生の影響で学校に行けなくなった経験があり、「先生の影響力は、良くも悪くも子どもの人生を変えてしまう」と実感したのです。それまで学校生活が大好きで活発的な子どもだったので、一時期学校に行けなくなったことは、親も周囲もかなり衝撃的だったと思います。このように”先生”という仕事は、人に大きな影響を与えることを実体験したことで、大学受験の際には自然と”先生”を志す選択をしていました。
教育事業への「想い」は、小学校時代の出来事から生まれたんですね。そしてベネッセホールディングスに入社されていますが、なぜ新卒でベネッセを選ばれたのでしょうか?
新見:きっかけは偶然でした。学生インターン中に一緒になったベネッセ社員の方の影響が大きかったです。
大学では教育課題に取り組むNPO法人でインターンをしていました。そこでは高校生向けのキャリア教育活動を行っており、主にディレクターとして授業企画を担当。自身が担当した企画に、ベネッセ社員がスタッフとして参加してくれました。
授業終了後、自分の今後のキャリアを話すと、「ベネッセでは全国各地の学校教育の現場を知れるし、支援数はNo.1。教育現場を詳しく見れて必ず良い経験になるはず!」と言われたことで、就職活動の候補先になりました。
就職活動の軸はどのようなものがありましたか?
新見:先生になった時に、「生徒に還元できるような社会人経験を」と意気込んでいましたね。
「若手にも裁量権がある」
「教育の現場を深く知れる」
「学校や先生を支援できる企業」
の3つの軸を明確に置いていましたね。ベネッセはどの条件も満たしていたのと「先生になっても子どもたちに還元できることが多いだろうな」と思い入社を決めました。
率直にベネッセを振り返ってみて、どうでしたか?
新見:振り返ると、人生の大きな転機であり今のキャリアを築くきっかけになった貴重な経験を積めました。
はじめは、学校支援営業を担当していたのですが出張も多くハードワークでしたね。最初は目の前の業務に必死に取り組んでいました。そのうち、営業という仕事は向いていると自分も他者も思えたかもしれませんが、人の機微に敏感だった私には、徐々にそれが辛さに変わっていったことを覚えています。また、1年目ではOJTの先輩と馬が合わずに苦労しました。
しかし、幸せなことに恩師と呼べる上司に出会ったんです。
苦しんでいる私を見て、常に「大丈夫だ、大丈夫だ」と私の可能性を信じる言葉をかけ続けてくれていました。いよいよ限界がきて逃げ出しそうになった自分に、「環境を変えてみないか?」と異動を提案してくれました。
今、考えてもこの上司がいなければ、今のようなわたしは間違いなく存在していません。笑
製品開発部では、どのような経験をされたんでしょうか?
新見:2015年から3年間、製品の開発(模試の問題制作)を担当することになります。模試は、受験生の何十万人が受けるものであり、高校生の入試本番前の大事な役割を果たします。責任は大きかったですがプロの方々とのモノづくりを通じて、学校現場・そして生徒に貢献できる、非常にやりがいの大きいものでした。
さらに、ここでは自分の「好き」と「得意」が重なり、能力を最大限に発揮することができました。製品開発では、製品のミスは許されず、精密に作ること、さらには各工程を担当する100人以上の方とコミュニケーションを取り、製品を作り込んでいきます。
ユーザー観点を持ち、「製品をこのようにしたい」という企画作りや、同時にさまざまな人を巻き込んでいくマネジメント業務など、自分の裁量ですべてを管理して実行する仕事の楽しさも味わうことができました。ここでの発見は自分のキャリアに大きく影響していると思います。
成果としてどのような結果を残せたのでしょうか?また、どんな気付きがありましたか?
新見:具体的なことは社外秘のため言えないのですが、自身の担当商品の品質は常に高い水準に保つ結果を残せました。今振り返ると、巻き込むひとのモチベーション管理など、一連のマネジメント業務が成果として出てきたんですよね。
2018年に念願だった小学校の先生になったそうですね。ベネッセでも、やりがいや信頼を得ていたと思うのですが、葛藤はなかったのでしょうか?
新見:正直、当時の仕事に対して、充実感も誇りも持てていたので、とてもありました(笑)
しかし、ここでも上司や外部パートナーなど周囲の方々から背中を押してもらい、夢だった先生に挑戦する決意をしました。
ただ「新見くんとこれからも仕事をしたかった」と、外部パートナーの方だけでも3,4回送別会を開いてもらい、寂しくなったのは覚えています。先生になっても応援しているよ!と送り出してもらいました。
念願の先生としてのキャリアは、実際どうだったのでしょうか?
新見:実際、民間企業と仕事スタイルが全く違うので、ギャップは想像以上でした。まず、目的意識を持ち変化を”良し”とする民間企業と、平等や安定を何よりも大事にする先生(公務員)ではDNAが全く異なります。
また、会社員を経験し先生になる人が少ない業界なので、小学校に配属された当初は浮いていましたね…。
ギャップは想像以上ということですが、具体的にはどんな場面で、そう感じたのでしょうか?
新見:当然、前職で培ったものを発揮しようと
「この行事では、こういう風にすれば効率良く進められると思います。」
「この会議の目的はなんでしたっけ?」
と学校をより良くしようと意見を出していきました。当初、ベネッセ時代に叩き込まれた試行錯誤を繰り返す改善フローはまったく受け入れられませんでしたね。それもそのはずで、まだ信頼が得られていない人のいうことなんか、誰も聞いてくれませんよね。「なんでそんなところに疑問を持つのか分からない」と同僚に言われたこともありました。
そうだったのですね。振り返ってみて、いかがでしたか?
新見:そもそも、いくらスキルがあっても、正しいやり方で推し進めようとする前に、みんなからの信頼を獲得してから動くことが大切だとこの時に学びましたね。
その経験を基に正しいと思うことを提案するよりも、まずは受け入れられやすい土壌を作ることに専念していきました。とにかく、この提案の仕方だと受け手がどう感じるか、〜など、コミュニケーションの設計の細部にこだわり続けました。
そうだったのですね!実際に先生をやってみてどうでしたか?
新見:マネジメントや人の成長に喜びを感じる土台になっています。先生の仕事ってマネジメントなんです。1クラス40人近くの子供たちが楽しく勉強できたり、充実した学生生活を送れる環境を整えてあげること、子供同士の関係性をチューニングしたり保護者を巻き込んだ取り組みを行うこと、教員同士で協力したり、各ステークホルダーをうまく円滑に回す。民間企業であれば、マネージャーがやる業務と一緒ですね。
先生=マネージャー、ベネッセ時代の経験が活きたんですね。先生としてやっていく中で、再確認した強みがあったお伺いしました。
新見:そうですね。現場では「先生はマネージャー視点で考えよう」と言い続けていました。マネージャー視点で見ると、ここにリスク因子あるよねとか、プロジェクトの開始、つまりクラスが始まる時は注意して動く等、先生としてやっていく中で面白さがありましたし、自分の強みはマネジメントにあるんだな、と再認識できました。
ジェイエルネスの組織改革に通じるお話ですよね。2年目からは学年主任以外の主任業務を任されていたとお聞きしました。
新見:校長の信頼も得られてからは面白がってくれて、2年目から学年主任以外の主任系業務をすベて任せられるようになりました(笑)
大抜擢だったんですね…!
新見:年功序列の組織ではありますが、教科主任や、英語推進委員とか、IcT推進委員など掛け持ちしていましたね。1年目の反省もあったので、スモールスタートで信頼を得てから文化風習に至るまで、改革するようになりました。
「英語の授業はこのように進めていくと良いですよ」「Excelの使い方はこういう風に勉強してみてください」であったり自分の担当業務以外もサポートしていました。
取り組みを続けるうちに、学校の雰囲気まで変わっていったのを覚えています。そのような経験もあり、組織課題に対して課題を見つけ改善していくことにやりがいを感じたきっかけでもありますね。
さらに自身の価値観にも大きな変化があった出来事があったとお伺いしました。どのような経緯があったのでしょうか?
新見:ベネッセ時代は、プロジェクトの成功が全てでした。当然自分には厳しく、同じ基準をメンバーにも求めていたと思います。ですが、教員を通して子供の無垢な人間の成長をみてからは、人の成長に興味関心が沸きました。そのような環境にいると、成長に対して喜びが湧き上がってきたんです。「4月に入ってきた子たちが、もうこんなに成長してるの!?」と彼らの成長に触れ続けていると、毎日が驚きの連続でした。
さらに、成長が自分の関わりやマネジメントによって起きてることが大きな喜びになりました。本当に貴重な価値観の変化で、これがなくしてジェイエルネスの組織改革に着手しようとは思わなかったかもしれません。
ジェイエルネスには新規事業の立ち上げメンバーとしてジョインされましたよね。代表の樗澤に何度も口説かれたとか…(笑)最終的な決め手はなんだったのでしょうか?
新見:「樗澤一樹」と成し遂げたかった、というのが理由です。樗澤の描くビジョンを一緒に実現したいと思ったからです。当時のジェイエルネスの主軸の事業が、まさに教育事業だったというのもあると思います。
新規事業の立ち上げはどうでしたか?
新見:事業は、ピボットを10回以上しており、リソース不足に加えコロナ禍という逆境のなかで、決して順風満帆ではありませんでした。この歩みを進めるなかで、同時にジェイエルネスの組織改革に踏み切ることにしました。なぜならば、メインの2ndPASS事業が回らなくなれば、会社が立ち行かなくなり、新規事業の立ち上げなんて言ってられませんから。
正直、新見さんが組織改革をはじめる前と後では180度組織が変わりましたよね…。まずは、どこに問題があったのでしょうか?
新見:ありがとうございます。そうですね…。言葉を選ばずにいうと、当時のジェイエルネスは「代表のワンマンチームのアマチュア集団」「自分以外の仕事や、他のメンバーに関心すらもたない、まるで個人商店の集まり」でした。
内部がどうなっていたのかというと、
・アサインも責任範囲も不明確。故に、メンバーが主体性をもたない。
・決定権は代表に集約されていて、常に“答え“が代表にある。故にメンバーは、目的思考ではなく、その“答え“を探しに行く。
結果的に…
・トラブル対応などでは特に顕著に出る、“誰が“やるの?問題が常態化。自分の会社で起こっている事象なのに、関心が弱く、関わろうとしない。
・会議をしても、意見が出ない。戦略立案が代表に集約されているので、戦略や根拠のない空中戦の会議が行われる。
・オペレーションがない、作ろうとしないので、トラブルが続く…。
当時を振り返ると課題は山積みでしたよね。創業以来、メンバー全員がストイックに仕事に取り組める環境を目指していたことが裏目に出てしまったのですね。
新見:そうですね。言葉を選ばずに極端に言うと、メンバーに不満は溜まり、会社という形だけをもった“チーム“になれていない“集団“となってしまっていました。
何より、明らかによくない組織構造のなかで苦しんでいるメンバーのみんな、会社のことを横目に見ていられなかったんです。
どのように改革を進めていったのでしょうか?
新見:ベネッセや先生時代の経験を踏まえ、まずは「代表である樗澤」の意識を変えることに尽力しましたね。
時間をかけて組織や事業の課題感を樗澤に認識してもらったタイミングで、声を掛けられました。
「じゃあ、組織改革に着手してほしい」
と言われ、彼に納得感を持ってもらい進めていきました。まずは、課題感を可視化してメンバー全員がフラットに意見をいえる会議を設定したんです。ここでは、2ndPASS事業のある課題をみんなに認識して欲しくて実施しましたね。
そこから一気に組織が変わっていくきっかけになりましたよね。その後はどんなことに取り組んだのでしょうか?
新見:そこからは、ガントチャートでみんなのタスクを管理したり、会議のフローや、データの管理体制など、至るところまで、まずはみんなが仕事しやすいように整えていきました。
社内の雰囲気が着実に変わっていきましたよね。
新見:その結果、今ジェイエルネスは確実に足し算でしか結果を出せない”組織”から掛け算で成果を出していく”チーム”へと一歩ずつ歩みを進めることができたと思います。
何より、樗澤に納得感をもってもらい、メンバーへの権限譲渡、育成の小さな成功体験を積んでもらったことも大きいと思います。
メンバー主導で困難な問題に立ち向かい、新たなことに挑戦し続けられる組織力の土台は整ったと思います。各ポジションごとの責任範囲を明確にして、組織の方向性を示したことで団結力のある強いチームとなりました。
ジェイエルネスは、ついに「個人商店の集まり」から「チーム」になることができたんですね。
新見:組織改革と大それたように聞こえますが、成功したのは今のメンバーがいてくれたからです。樗澤を中心に、全員で課題感を認識し、良くなりたいと変化に順応し、トライし続けてくれているみんながいたからなんです。
これからのジェイエルネスはどうなっていくのでしょうか。
新見:もちろん、まだまだ可能性を秘めていますし、2ndPASSの可能性を私はだれよりも信じていますね。それこそ、学校法人になる可能性も秘めているし、他のスクールの横展開なんかも事業の成長という観点ではあり得ると思います。
そのためには、自分たちのアイディアを実現できるぐらいのスキルが必要です。さらに強い組織力が必要。なので、そっちを頑張っているというところです。代表依存ではない、メンバー主導で困難な問題に挑戦する組織づくりにこだわっています。
新見さんからみて、今の組織はどうでしょうか?
新見:今では、全社会議でも樗澤や私が意見を出さなくても、みんなからさまざまなアイディアを持ち寄って会議が進んでいますよね。一人一人が自分の責任範囲へコミットしているからこそ、果敢に挑戦する組織になれていると思います。今、右肩上がりに成長し続けていると強く実感しているところですね。組織改革を行う2年前と比較をすると、毎日その変化≒成長を見るのが楽しくてしょうがないです(笑)
確かに!新見さんが組織づくりを担ってくれるからこそ、メンバーは事業に集中できていると思います。
新見:だれよりも組織のことを俯瞰して見れる立場にいますし、だれよりも振り返りを行っています。今の組織を見ていたり、メンバーとの1on1を通して、毎日その差を実感しているところです。例えば、2ndPASSで新たなプロジェクトが走る時の壁打ちは楽しくて仕方ないです。とても嬉しいですし、事業の初めに関われるのは楽しいです。
自分たちが裁量権を持って仕事に取り組める、なども組織改革を行う2年前と大きく変わった点ですね!ジェイエルネスの魅力を教えてください。
新見:多様性のある人材が揃っているところ。そして面白いぐらい真面目なところですね。
仕事の成果や顧客への向き合い方、社外パートナーに対して愚直にひたむきに向き合うんです。一緒に働いていて気持ちの良い人材しか揃っていないと思います。
樗澤自身がひたむきな性格なので、それが組織にも反映されているなぁと強く感じます。樗澤もそういう点が評価されて、社外パートナーの方々に信頼を得たりしていますからね。まずは人として信用してもらうカラーなど、みんな似ていますね。責任感が強いんです。
何よりも業界でトップシェアを誇るサービスを持っている、この規模でそれを実現し、ニッチな領域でそれを取れれば、なんでもできると思ってます。
「もっと存在感を薄くしたい」
何より、樗澤と私の影をどんどん薄くしていきたいんです。
それは、どういった意味でしょうか。
新見:みんなに決定権があると考えているんです。極論、全員が取締役で良いんです。
樗澤と新見の立場がなくなり、「価値はどこで発揮するの?」という声がメンバーからあがってくれば、樗澤一樹はコアなCEOとしての役割に、私はコアなCHROの役割に集中できたりしますよね。
みんなから突き上げられるというか。
「こんなところで価値発揮してくださいよ!」と言われるのが楽しみなんです(笑)
みんなが決定権を持っているし、みんなが裁量権を持っている組織体制が、楽しく仕事に取り組めると信じています。また、何よりそれらを楽しめるメンバーがジェイエルネスには揃っています。「言われたことだけを愚直にやる」ではなく、「自分のアイディアを形にしたい、自分で決めてやるのが楽しいんだ」というメンバーが多いです。
最後に、ジェイエルネスで今後どのような人と一緒に働きたいか、教えてください。
新見:まず、ここまでお付き合いくださり、ありがとうございました。
わたしたちは、まだまだ進化していきます。
そのためには、もっと多様な強みをもった人を仲間として迎えたいです。
条件は一つ、
・企業理念に共感してくれること
字面だとわかりにくいなー、そんな人は安心してください。
オフィスにきてみてください
樗澤と話してみてください。
企業の体をオフィスを通じて、そして企業の心を代表社員を通じて感じとっていただくことが、最も簡単です。
そして繰り返しになりますが、我々の強みである、魅力的なメンバーが待っています。
あなたの良さを、あなたのWillを活かせる場所を用意するのが私の役割です。
ぜひ私に仕事をさせてください。一緒に、チームを作る楽しさを味わいましょう。